Jesus Loves You & Me! |
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1998.8.14UP
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以下は、1997年7月の出来事である。
もうかれこれ3日。夏休みに入ったというのに私は激しいのどの痛みに苦しんでいた。痛いどころの騒ぎではない。耐えられない痛さである。そして火曜日になり、私はようやく医者に行けると思いつつ電話帳で見つけた近所の耳鼻科に出かけた。これから記すのはその耳鼻科で私が初めて体験した恐るべき出来事である。 「林さん。どうぞ」 と呼ばれて診察室に入ると数人の患者がイスに座って順番を待っていた。年寄りと子供ばかりである。脇で子供が吸入器をするのを狂ったように泣き叫びながら拒絶している。子育ては大変だ。吸入器ごときであんなに泣かれたら困っちまぜ。私も子持ちになるとこうやって育てていくのだなとふっと思う。医者はてきぱきと年寄りの患者を診察しこなしてゆく。久しぶりの耳鼻科だ。子供の時以来だ。そうそう。耳鼻科は聴診器など使わず、鼻と喉の奥を器具で広げてのぞきこみ、シュパシュパと消毒らしきことをし、その後、吸入や鼻に突っ込む何かわからん器具で治療をするのだっけ。そして私の順番になった。 「まぁ、適当に抗生物質でももらって一日寝れば何とかなるだろう。」 そんな気楽な気持ちで診察イスに座ると、医者はてきぱきと問診し、のどをのぞきこんでいた。そして、急に、 「はい。これ持って。つばはこれに吐き出して。」 と、トレイを渡され胸のところで受けるように言われた。何するのだろうと思って、口を開けた矢先、 「グゲェ!!」 恐るべき声である。もうこの世のものとは思えない。 「うげぇ、おえぇぇ、げえぇぇぇぇ!!!」 医者は非情であった。長い棒に脱脂綿をつけ何やら薬品を含ませ、容赦なく私ののどに突っ込みかき回すのである。 「これ、痛いでしょ。ここのところ。」 「ゲェェェェ、い・・おえっ。痛いで・・ゲェェェェェ・・す・・オエ。(頼むから止めて・・・)」 痛いと言っているのに奴はそこばかりを棒でぐりぐりかき回す。拷問である。何度も何度も棒の脱脂綿を変え薬をつけて奴は私ののどをぐりぐりかき回す。 「ゲェェェェ、おえぇぇ!!グゲェェ。」 激しい痛みに身もだえし、上に逃げようとしても医者は容赦なく責めあげる。 「はい。つばはいて。」 つばを吐くと血だらけである。血と膿をトレイに吐く様相は悲惨である。周囲には、順番待ちの人が全員不安そうな顔をして私を注視している。かっこ悪い。でも年寄りと子供ばかりで良かった。 「はい。口開けて。」 まだやるのか・・・。もう地獄の責め苦だと思いつつ。口を開ける。医者は容赦なく責めあげる。私の顔は涙と鼻水と唾液でぐちゃぐちゃである。とても、ぴちぴちギャルに見せられるような様相ではない。横の方で待っているちびちゃんが怖くなって泣き始めたようだ。 「ゲェェェェェェェェェェェ!!!うっ。はぁはぁはぁ。う、ゲェェ。」 どうやら、膿んでいるところを潰しているらしい。膿と血がのどの奥からたくさん出てくる。汚い。 「(汚ねぇ・・俺は耳鼻科には絶対ならんぞ。こんちくしょう)うげぇぇぇぇ!」 ・・・・そして何度も、棒を突っ込まれ、あまりの激痛に意識が朦朧としていた。あの大嫌いな歯医者よりはるかに苦痛だ。私は絶叫しながら、 「もう二度とこの医者に来るものか。確かに早く治るかもしれんがここまでせんでも治るだろう。うぅぅぅっ。ばい菌完全殲滅作戦だ。ベトナム戦争のナパーム弾以上だ。農薬づけの農業と同じだ。西洋医学の典型だ。これからは無農薬野菜だ。」 など、意味不明のことを朦朧とする意識の中で考えていた。そして治療を終え、二度と来ないでおこうと思いつつ受付で支払いをし、 「領収書下さい。」 と言うと 「月ごとにまとめて渡しますので次回来られたときに渡します。」 何ぃ? もう一度来いというのかぁ? 金儲けに走ってるのか??と思ったが、領収書は欲しい。うまくいけば(?)年間医療費10万円を超えて税金が控除されるからだ。でもたぶん今度はだいぶ治っているからこの恐怖のナパーム弾攻撃はないだろう。でももしあの責め苦にもう一度あったら・・・。などと思っていたが、 「まぁいいか。これぐらいの痛みで騒いでどうなる。またやられてやろうじゃないか。おいらは負けないぞ。でも子供が生まれたら大変だから別の医者にしよう。」 などと思いつつ家で寝るべく帰途についた。そんな7月21日、快晴。私の素敵な夏休みであった。 1999.4.25 ・・・今、耳鼻科は別の医者に行っています。(^ ^:)
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