恐るべき自動販売機　その５

　なんてことはやっぱり全然無かった。全く守銭奴のように襲いかかる我々をあざ笑うかのごとく、ボロボロ大村昆ちゃん自動販売機は地面にその図体を横たえていた。そしてここまで来ると今度は起こせない・・・・。恐るべし自動販売機。しかもお金が出てくるであろう前面は下側である。起こすどころか転がすこともできない。しかし、我々は再度挑戦した。
　「うおりぃやぁぁぁぁぁ！」、「Uryyyyyyyyyyyyyy!」
５人がかりでディオ・ブランドーのような雄叫びを上げながら渾身の力を込めたが、
　「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ー！！」
という声が聞こえたような気がした。そしてようやく90度だけ転がった。ここで欲望を超越して、無我の境地にいる我々５人は自動販売機から小銭をせしめることをあきらめた。
　「おばさん。これ捨ててくるね。」
おばさんはずっと大笑いしている。ここで私の愛車バイオレット（日産サニーハッチバック）の登場である。ハッチバックを開けて、５人で全力を尽くして車に載せようと試みた！

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