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著作権〜転載と引用の違い
WEBサイトを作ろうと思うと、一度は考える著作権問題。その中で、"転載"と"引用が"よく混同されているのを見受けます。そもそも引用と転載は区別されるべきものなのですが「無断引用禁止」という矛盾した言葉を見かけることもあります。そのため、ここでは転載と引用について記します。もし専門家の見地から、問題がありましたらご指摘下さい。
- 転載(複製)
著作物を使用する権利は当然、著作者にしかありませんので第三者が無断で使用したり複製すると即座に自動的に著作権侵害となります。そのため、一般に「転載」と言われるものは、主たるコンテンツをよそから持ってくるものですから著者の許可が必要です。例えば、他人の文書をごそっとコピーするとか、長々とコピーして短いコメントをちょこっと付けるだけなどは、引用とは言えず、転載と見なされ著作権の侵害に当たるでしょう。また曲や歌詞などは、普通、曲や歌詞そのものが主たるコンテンツになりますから、ホントの一部を持ってくるのでない限り、無許可でやると著作権を侵害することになるでしょう。転載の条件は著作者が決めます。
- 引用
よく誤解があるのですが、引用は著者の許可なしで自由にできます。ただし主たるコンテンツでなく、あくまでも参考までに一部を持ってくる「従」のコンテンツであることが条件です。論文等で他の本等の一節を「引用」し、それについて批評する場合などは、批評が主たるコンテンツで引用文は従となりますので著者の許可は不要です。ただし、著作権法第48条(出所の明示)で出典の明記が義務づけられています。明記に当たっては著作者が出所から自明である場合と無名である場合を除き、著作者名を示す必要があります。
そういうわけですから、転載と引用は著者の許可の意味において天と地の違いがあります。ただし、転載と引用は意味は明確に違うけど、その区別は人間のジャッジですから、正確には曖昧なものとなります。
あと、写真やデザインを使う時に、勘違いしやすいことを追記します。一言で言えば、いくらお金を払っていても著作権の譲渡を受けない限り、著作者の許諾した範囲、もしくは契約の範囲を超えての使用はできません(当たり前ですが)。
このことを仕事でカタログの制作をデザイン会社に頼んだケースで記してみます。
- 電子データの権利は、デザイン会社にある。
カタログ製作ですから、最初の契約(もしくは制作依頼時)に、電子データ込みとしていない場合は、電子データは基本的にもらえないと考えるべきです。後で欲しくなった場合は別途、料金が必要ですし、改変、転用については著作者の制限を受けます。
- 他の制作物への転用の権利は、デザイン会社にある。
例えばとてもいい写真があったので、会社のWebサイトや会社案内に転用したくなっても元々の契約が「カタログ」であれば、カタログ以外への転用は著作者に無許可での複製になります。そのため、契約時(発注時)の使用範囲でしか著作物は使えません。
- デザイン案を複数提示させた場合、採用しなかったデザインの使用権はない。
デザイン案を複数出してもらってそこから選ぶ場合、契約対象はその選んだデザイン案のみですので、いくら良い案が他にあっても使うことは出来ません。
このように、いくらお金を払っていてもそれはあくまでも「カタログ」という制作物に対してのみですのでその範囲でしか使えないということです。デザイン会社等著作者に著作権譲渡を受ければ別ですが、料金はかなりのものとなるのではないかと思います(やったことないですが)。
こう書くと「えらい、厳しいこというなぁ、固すぎるで。ちょっとぐらいええやん」と思う人もいるかもしれませんが、そうしないと著作者の権利は守れない、つまり、アーティストやデザイナー、デザイン会社などは生計を立てられない、ひいては創造活動の停滞に繋がります。
このことは、逆に自分の作品や提案などを他人が勝手に自分のもののように使って大儲けされたり、社内で賞賛されていることを想像すれば分かりやすいと思います。
参考となるWEBサイトを以下で検索してみて下さい。
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